築100年以上の古民家を改築した1日1組限定の一棟貸し古民家「吟漁亭(ぎんりょうてい)」(松崎町那賀)が10月5日、松崎町にオープンした。
同宿は、東京都出身の片山紗織さんが、東京・銀座で日本料理店「吟漁亭 保志乃(ほしの)」を営む父親と共に親子で経営する古民家宿。片山さん親子は、松崎町に住む知人との会話をきっかけに2022年3月、初めて松崎町を訪問。そこで見た景色が紗織さんの祖父母が暮らす広島県の景色に似ていたことから同所に一目ぼれし、同時に知人から紹介された古民家との出合いを機に、古民家宿の経営を決めたという。
2022年7月から改築工事を行い、紗織さんは開業準備のため同年9月に松崎町へ移住。家屋の老朽化が激しい部分は新しく作り直しながらも、古民家ならではの立派な梁(はり)・大黒柱・瓦屋根・なまこ壁など生かせるものは残しながら、地元の職人らの手によって工事が進められた。
調度品にもこだわりを見せる紗織さん。「地元のものを使いたい」という思いから、土間に置かれた囲炉裏(いろり)テーブルは地元の木工工房「松崎工房」(峰輪)に特注した。玄関前の表札や土間の壁には、なまこ壁にも使われる「漆喰(しっくい)」と「こて」を用いて作られた「こて絵」を取り入れるなど、地域の伝統も取り入れた造りになっている。
宿泊プランは素泊まりのみを提供。プロ仕様の台所には調理器具や調味料など取りそろえ、囲炉裏を囲んでの食事など宿泊者の思い思いに空間を楽しむこともできる。「今後、要望に応じて地域の出張料理人による地元食材を使った料理の提供もしていけたら」と紗織さん。
今後の構想について、バックパッカーの経験を持つ紗織さんは「観光地に行くだけではなく、地域の中に入り込んで住民たちと触れ合う体験ができる場所にしていきたい」と意欲を見せる。「宿泊客以外にもヨガや料理教室など空間貸しスペースとしても活用し、地域住民も集うことができる場にしていきたい。それがいつか宿泊客とつながっていけば」とも。
宿泊料金は、3人まで=3万3,000円、1人追加につき8,800円。予約は宿泊予約サイト「Airbnb」で受け付ける。チェックイン=15時~21時、チェックアウト=11時。無料駐車場3台完備。