街中のさまざまな場所で湯けむりが立ち上る伊豆随一の温泉地・熱川温泉の、高温の温泉や湯の花が飛び散る様子を間近に見ることができる源泉掃除の見学会が9月16日から、「お湯かけ弁財天」(東伊豆町奈良本)で開かれる。
江戸城を築城したことで知られる太田道灌(どうかん)が発見したとされる熱川温泉。伊豆熱川駅を中心とするこのエリアには約100度の高温の温泉が自噴し、温泉を備える多くの宿泊施設や、温泉熱を利用して動植物を育てる「熱川バナナワニ園」などが点在している。源泉が湧き出る温泉櫓(やぐら)は13本あり、面積当たりの本数は日本一を誇る。
6月には、その豊かな温泉環境と、高温かつ湯の花が付きやすく管理が難しい温泉を受け継いできた湯守り(ゆもり)文化の価値が認められ、伊豆半島ユネスコ世界ジオパークのジオサイト(文化サイト)に登録された。それを受けて「熱川温泉旅館組合」では、湯守り文化を観光客が興味を持てる形で発信していく事業に取り組むことを決め、その取り組みの一つとして、熱川温泉の「温泉ならでは」の源泉掃除を見学できるイベントを企画した。
熱川温泉の湯守り文化について、同協会の石島正和さんは「一般的に湯守りというと、旅館の中で湯船の温度を調整する役割を指す。熱川温泉ではそれだけでなく、源泉の管理やそれを宿泊施設などに届ける配管のメンテナンスなど、温泉に関わる、より幅広い役割を湯守りと捉えている」と話す。
見学会の見どころについて、石島さんは「吹き出す源泉と杭がぶつかってお湯や湯の花が飛び散り、湯気が辺りに立ちこめる迫力の作業風景を見てほしい」と話す。
見学会は9月16日・17日・23日・24日・30日の全5回。各回とも11時から30分程度。参加無料。応募は電話(TEL 0557-23-0174)と専用フォームで受け付ける。