江戸城築城のために伊豆の山から切り出された大石を運ぶ「御石曳(おいしびき)」を再現して今に伝える「石曳(び)き道灌(どうかん)まつり」が9月24日、熱川海岸通り(東伊豆町奈良本)で開かれる。
熱川温泉のマスコット「どうかん先生」など、ゆるキャラも祭を盛り上げる(関連画像5枚)
約400年前、徳川幕府の命により行われた江戸城の改築の際には、東伊豆から海路で運ばれたたくさんの伊豆石が石垣や門に使われた。その名残りから、伊豆稲取駅前の広場には約3トンの築城石が置かれ、築城石の歴史を知ることができる看板も立てられている。1457年に江戸城を築城した太田道灌は、熱川温泉を発見した人物としても知られている。
今回11回目となる「石曳き道灌まつり」では、山から切り出した大きな石を港まで運ぶ御石曳を再現し、約12トンの大きな石を200人以上が力を合わせて引く。イベント当日に会場で募集する「曳き手」たちが侍大将のかけ声に合わせて石を引くが、最初はなかなか動かず、息を合わせて力を込めることで少しずつ進み始める。地面との摩擦で煙が出るほどの重い石が進むにつれて参加者の一体感は高まり、50メートル先のゴールに到達した際には、ハイタッチしたり抱き合ったりしながら、それぞれの健闘をたたえ合う姿が見られる。
会場の熱川海岸通りには10店舗ほどの夜店が出店。熱川バナナワニ園の「熱川ばにお」や熱川温泉のマスコット「どうかん先生」などのゆるキャラも駆け付け、太田道灌が狩りの時に打ち鳴らしたといわれる「熱川道灌太鼓」や地元有志バンド「ぎんでぇず」の演奏が祭を盛り上げる。さらに石曳きが成功した後には、今年初となる手筒花火と恒例の打ち上げ花火がクライマックスを飾る。
「石曳きにはたくさんの観光客が参加する」と話す東伊豆町観光協会の前田陽司さん。「江戸時代、機械がない時代にこの地から大きな石が運び出された。御石曳を体験してもらうと、それがどんなに大変なことだったか分かる。この祭を通じて地域の歴史を知ってほしい」とも。
夜店開店と石曳き参加受け付けは18時30分開始。御石曳は19時55分からを予定。石曳き参加者にはオリジナル法被とタオル、夜店買い物券を進呈する。