釣りが禁止となっていた田子漁港(西伊豆町田子)で7月31日、アプリを用いた漁港の釣り場予約サービス「海釣りGO」が始まった。伊豆漁業協同組合田子支所が事業主体となり、「さかなファーム」(東京都新宿区)サポートの下、来年2月までをトライアルとしてサービスを運用する。
コロナ禍で「密にならないレジャー」として注目を集めた海釣りだが、その一方でルールのない中での海釣りはトラブルが発生することも多く、日本各地の港が次々と釣り禁止に踏み切る事例が相次いだ。同港でも、漁船の運航を妨げたりするなど漁業者と釣り人とのトラブルが元となり、2022年7月より釣りが禁止となっていた。
アプリ開発を担ったさかなファーム取締役の國村大喜さんは「昔から釣りを続けてきた身として、釣り人が忌み嫌われるのは悲しい。 地元の人たちに温かく受け入れられ、感謝の気持ちを込めて還元して帰る。そんな釣り人像や釣り体験を作ることができれば、遊漁における社会課題を一つ解決できるはず」と話す。
同サービスでは、適切なルールの下で利用料金を漁港管理者に届けることが可能となる。利用規約への承諾を求めた上で、事前にアプリで釣り場と駐車場の予約を受け付け、混雑を緩和するため時間ごとに利用人数や駐車台数の制限を行う。アプリでの管理に加え、港内では巡視員が不定期で見回りを行い、適正利用を促すなどすることで、同港は釣り人の受け入れを再開した。
田子漁港の目の前にある「サンフレッシュ田子店」(西伊豆町田子)では釣具のレンタルを行うほか、餌や氷、仕掛けなども販売。空きがあれば魚をさばくサービスも提供するなど、初心者でも楽しむことができるサービスをそろえる。
同港で8月19日・20日の2日間、海釣り再開を祝い、さかな芸人ハットリさんを招いて「海釣りGO潮止まりイベント」を開催する。トークライブのほか、ジュースの無料配布やじゃんけん大会なども予定し、詳細は公式サイトやツイッターで知らせる。
國村さんは「まずは田子漁港でのサービスレベルの向上に取り組み、ゆくゆくは同じ悩みを抱える全国の漁港・港湾にも展開していけたら」と話す。「『海釣りGO』を導入した地域が活気を取り戻し、地域の事業者から釣り人の受け入れを再開して良かったと言ってもらえるような運営をしていきたい」と意気込む。
釣り場と駐車場の予約はアプリで24時間受け付ける。料金はそれぞれ1時間ごとに、釣り場=300円、駐車場=100円、小学生以下無料。