98年の歴史を持つ下田市立下田幼稚園(下田市一丁目)が3月16日、惜しまれつつ閉園式の日を迎えた。
同園は1925(大正14)年4月、下田町宝福寺の境内で開園した。その後、数回の移転や建て替えを経て1993(平成5)年に現在の姿となった。2006(平成18)年に浜崎幼稚園と、2008(平成20)年には稲生沢幼稚園と統合し、市内で唯一の幼稚園となった。
開園以来、計8990人を送り出した同園だが、少子化の波を受け、昭和40年代には200人以上いた園児が、2019年には31人にまで減少していた。近年、入園希望者が減少したことから閉園が決まった。
閉園式では、山田貞己教育長が園との思い出を語り、「閉園になるのは寂しいが、下田幼稚園は子どもたちや保護者、地域の人々の心の中に残っていくだろう」と話した。自身も同園の卒園生である河津元PTA会長は「下田幼稚園の思い出を大切に、これからの未来を輝くものにしてほしい」と園児らに語りかけた。
式の最後には、卒園児8人を含む10人の園児が壇上に上がり、手をしっかりと握り合い、お別れの歌「ありがとう さようなら」を大きな声で歌った。下田幼稚園の思い出が詰まった同曲は、園児や保護者、職員から募った言葉を「つながりあそびうた研究所」の町田浩志さんが紡いで曲をつけたもの。
卒園児の保護者は「下田幼稚園がなくなるのは寂しいが、これまで園のために頑張ってくれた先生方に感謝したい」と話す。
同園は2023年度に下田市立下田認定こども園(敷根)に統合され閉園となるが、園舎は避難路の近くに位置することから、防災用の施設として利用される。