まき火レストラン「QUEBICO(クエビコ)」(松崎町江奈)が1月9日、観光庁が主催する「第3回サステナブルな旅アワード」で準大賞を受賞した。これにより同店は、農林水産省・環境省・観光庁の主要3省庁が主催するアワード全てで高い評価を受けたことになり、国内でもまれな「3冠」を達成した。
全ての食材をまき火で調理した「スパイシーチキンプレート」(関連画像8枚)
同店を運営する「ベーストレス」(松崎町)は、2022年に環境省の「グッドライフアワード」、2025年12月に農林水産省の「INACOME(イナカム)ビジネスコンテスト」で、それぞれ優秀賞を受賞。今回の観光庁による準大賞の受賞により、食・エネルギー・自然資源を循環させる独自のビジネスモデルが、各分野の専門的な視点から認められたことになる。
同社はこれを機に、旅をすればするほど地域が良くなる「リジェネラティブ(再生型)ツーリズム」を軸とした「次世代ガストロノミー事業」を本格始動する。次世代ガストロノミーでは、単なる飲食提供にとどまらず、地域の自然環境を再生させるアクティビティーやプロデュース事業を展開。観光客が訪れ、まきをエネルギーとして使う食体験を楽しむことが、そのまま放置林の整備や山の保水力向上につながる仕組みの構築を目指す。同店での食事が、伊豆の山や海を育む直接的なアクションとなる未来を描いている。
3つの省庁から評価された意義について、代表の松本潤一郎さんは「行政や産業は縦割りになりがちだが、本来、地域の営みは全てつながっている。狙ったわけではなく、この土地に必要だと感じたピースを一つ一つつないでいった結果、3つの評価がついてきたというのが実感」と振り返る。「自然資源を食やエネルギーに変える循環の仕組みは、どの分野からも切り離せないものだった」と、領域を横断することの意義を語る。
目指すのは、人が関わることで地域の自然が再生していく風景。「私たちがまきを使うことで山に光が差し、ミネラル豊富な水が川を経て海を潤す。西伊豆の山々が本来の姿を取り戻し、豊かな漁場と共に『人と自然が共生する里山・里海』が再生している未来をつくりたい」と松本さんは意欲を見せる。
今後は、この「西伊豆モデル」を全国の自治体や企業へ展開するプロデュース事業にも力を入れるという。松本さんは「単なるレストランのコピーではなく、その土地に眠る未活用の資源をエネルギーや食に変える『循環の仕組み』そのものを広げていきたい。各地域で共にこのモデルを動かしてくれるパートナーが必要」と呼びかける。