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伊豆の「磯焼け」防げ ブダイの買取価格2.5倍に、販路開拓と品質向上で

冷却保管されるブダイ(写真提供=静岡県水産・海洋技術研究所伊豆分場)

冷却保管されるブダイ(写真提供=静岡県水産・海洋技術研究所伊豆分場)

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 伊豆地域で深刻化している「磯焼け」を防ごうと、要因の一つとされる魚「ブダイ」の新たな流通体制の構築が進んでいる。静岡県水産・海洋技術研究所伊豆分場(下田市白浜)は1月8日、この取り組みによってブダイの買い取り単価が従来の約2.5倍に向上していると発表した。

冷凍フィレ加工されたブダイ(写真提供=静岡県水産・海洋技術研究所伊豆分場)(関連画像2枚)

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 磯焼けとは、海藻を餌とするウニや魚の大量発生などが要因で海藻が激減し、海底が焼け野原のようになってしまう現象を指す。近年、伊豆地域ではこの磯焼けがアワビやサザエの漁獲量の減少を招いており、深刻な地域では漁そのものが困難になるほどの打撃を受けている。

 今回のプロジェクトは、海藻を食害する魚の一種「ブダイ」の流通価値を高めることで、漁業者による採捕活動を促進し、海藻の再生を目指すもの。これまでも刺し網漁による採捕は行ってきたが、「磯臭さがある」と敬遠されがちな夏場や、市場に大量に水揚げされた日は、単価が1キロ当たり200円前後と低く、漁に出るための燃料代などの経費すら賄えないことが、採捕活動を進める上での大きな壁となっていた。

 そこで同研究所は、これまで敬遠されがちだったブダイの品質を底上げするため、漁獲直後の迅速な冷却保管を徹底するよう漁業者に働きかけるとともに、地元加工業者とも連携し、鮮度を保ったまま冷凍フィレに加工する体制を整えた。

 同研究所は、販路開拓アドバイザーから紹介された飲食店関係者と連携し、適切な処理を施したブダイのクセのないきれいな白身、加熱した際のプリッとした独特の食感など、食材としての魅力をアピールした結果、首都圏のフランス料理店や中華料理店などへの販路開拓に成功。その結果、買取単価は1キロ当たり500円前後にまで跳ね上がった。2025年11月時点で1~2店舗だった納品先は、今年1月から7店舗へと拡大予定で、毎月約100キロの納品を見込んでいる。

 同研究所主査の鈴木勇己さんは「ブダイは冬の魚というイメージがあるが、適切な処理を施せば一年中おいしく味わえる魚。流通価格が上がることで、漁業者が持続的に採捕活動に取り組める好循環を作りたい。伊豆半島のような岩礁域でしか獲れない希少な魚でもあるので、ぜひ多くの人に味わってほしい」と利用を呼びかける。

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