子どもたちが主体となって仮想のまちを運営する体験型イベント「レッツゴースマイルゆめタウン」が11月16日、下田市中央公民館(下田市四丁目)で初めて開かれた。約100人の子どもたちが「市民」として参加し、会場は終日、活気に包まれた。
クレープの作り方をこどもアルバイトに教えるこども店長(関連画像15枚)
ゆめタウンは子どもの主体性をテーマにしたまちづくりイベントで、一般社団法人「河津デイズ」が企画した。立候補で集まった小学2年生~中学1年生の14人のこども実行委員が、4月から月1回のこども会議を重ねて準備を進めてきた。
会場では、子ども自身が店や施設を運営し、参加者はアルバイトとして働いた時間に応じて仮想通貨「スマイル」を稼ぐ仕組みとした。稼いだスマイルは買い物やサービスに利用でき、まち全体が子どもたちの経済活動で成り立つ。
食堂、スイーツ店、ネイルサロン、雑貨店、ゲームセンター、映画館など、こども実行委員が企画・運営した10以上の店が並んだほか、市役所、病院、銀行、ハローワークといった公共施設も配置された。
来場した子どもたちは市役所で受け付けを済ませて市民カードを受け取り、病院で体調確認とアレルギーチェックを受けた後に入場。ハローワークで職業カードを選んで働きに向かう子どももいれば、受付時に配布される100スマイルを使って早速買い物を楽しむ子どもの姿も見られた。昼前には仕事希望者が殺到して職業カードが底を突く場面もあり、子どもたちの勤労意欲の高さは運営側の想定を上回った。
運営を支えたのは、教育支援の学生団体「びよーんど」、南伊豆ライフセービングクラブ所属の大学生、下田高校南伊豆分校の生徒らで、子どもたちが安心してまち運営に取り組めるようサポートした。
来場した子どもからは「次はいつやるの?」といった声が上がり、こども実行委員からは「ゆめタウンでやりたいことを実現できた」「みんなで考えて話し合うのが楽しかった」「めっちゃ楽しかった」などの感想が聞かれた。
事務局を務めた「河津デイズ」代表理事の植田耕一郎さんは「子どもは大人が導かないと動けないというのは大人の思い込み。子どもたちは自分で考え、責任を持って行動できていた。大人が想像するよりずっと主体的で、その主体性をつぶさず伸ばしてあげたい」と話す。「ゆめタウンを通じて、将来地域を担うリーダーが育つことを期待している」とも。