
地域の子どもたちが講義とすし握り体験を通じて海の課題への理解を深めるイベントが6月22日、道の駅「開国下田みなと」(下田市外ヶ岡)で開かれた。
「伊豆の海を守ろう! ~低利用魚で寿司(すし)握り体験~」と題した同イベントは、前半に磯焼けや低利用魚に関する講義、後半に未利用魚を使ったすしの握り体験の2部構成で行った。
主催した下田青年会議所の長谷川光子さんは「地元に仲の良い漁師がおり、漁業を取り巻く環境が年々悪化していることを聞いていた。それを地元の子どもたちにも知ってほしいと、以前から考えていた」と企画の背景を話す。
当初は定員20人を想定していたが、当日は約30人の小中学生が参加。見学の保護者も含め、会場には50人以上が集まった。
第1部では、会場近くにある伊豆漁協の津曲真生(まこと)さんと静岡県水産技術研究所伊豆分場(白浜)の鈴木勇己さんが講師を務め、低利用魚や磯焼けの現状について説明。鈴木さんは「海藻が減少する磯焼けは漁業に深刻な悪影響を及ぼすが、海藻を食べるブダイやウニが悪者というわけではない。生態系のバランスが崩れているだけ」と説明した。
第2部では、地元の老舗すし店「美松」4代目の植松隆二さんを講師に迎え、低利用魚を使ったすし握り体験を実施。子どもたちは、シイラやブダイ、タカノハダイなど、普段はあまり食べる機会のない魚を使い、植松さんの指導を受けながらすし握りに挑戦した。「次はどうするんだっけ」「意外と難しい」と苦戦しながらも、それぞれ6貫のすしを握り、自作のすしを味わった。子どもたちからは「自分で握ったすしはうまい」「ボラが一番好き」などの感想が聞かれた。
イベントを終えた長谷川さんは「想定以上の参加があり進行面での課題はあったが、子どもたちが真剣に話を聞き、楽しそうにすしを食べる姿を見ることができて良かった。今回の反省を生かして、今後もイベントを企画していきたい」と振り返った。