平日の災害発生を想定し、避難所に指定されている中学校で生徒たちが被災者の受け入れなどに当たる「ユニバーサル避難訓練」が11月26日、下田中学校(下田市敷根)で行われ、407人の生徒が参加した。
この訓練は、平日の下田市に大規模災害が発生し、多くの人々が生徒たちのいる中学校に避難してくる、という想定で実施。下田中学校は災害時の避難所に指定されている。同校では総合的な学習の時間に福祉や防災の学習を重ねており、今回の避難訓練は避難所運営の課題を見つけることを目的に、昨年から下田市社会福祉協議会などの協力により計画してきた。
避難所の運営を担当する2年生は「受付班」「誘導班」「保健班」「設営班」の4班に分かれ、それぞれ避難者の受付やテントの設営などを行った。避難者役は1、3年生が担当し、「視覚障害者」「外国人」「高齢者」「けが人」など支援が必要な人々も含まれているという想定で、2年生たちが担架を持ってきたり手を引いたりして、避難場所に誘導した。
さらに、訓練中に「介護用のおむつが足りない」「給水タンク車はどこに駐車すればいいか」などの突発事態をあえて発生させ、その対処法も学んだ。対処に当たった中学生からは「受付の列に高齢者用の椅子を置いた方がいい」「貼り紙が日本語だけでは外国の人が読めないのでは」などの意見が上がった。
訓練には生徒たちのほか、下田市社会福祉協議会や下田災害ボランティアコーディネートの会、県や市の職員、下田中学校PTA役員も参加し、生徒たちを見守った。
参加した生徒からは「実際にやってみないと分からないことも多く、大変だったがいい経験になった。実際に災害が起きたら、今日のことを役立てたい」という感想も聞かれた。
下田市の佐々木啓吾さんは「子どもたちが地域コミュニティーの力になれることが分かった。この訓練を今後につなげてほしい」、下田市社会福祉協議会の久保田勝さんは「今まで授業で聞いてきたことを実際にやってみることで、自分たちに何ができるかをリアルに考えるきっかけにしてほしい」と、それぞれ生徒たちへの期待を込める。