静岡県内の中高生が地域の魅力を探りながらビジネスプランを競うコンテスト「アオハルし放題」で11月8日、下田高校(下田市蓮台寺)生活科学部が最優秀賞を受賞した。同部は昨年に続いての受賞で、2連覇を達成した。
ドリンクのカップに貼られた地元企業のPRステッカー(関連画像3枚)
同プログラムは、静岡銀行が地域人材の育成と地方創生を目的に2020年から開催。今回は15チームが参加し、8月から11月にかけて行われた。
下田高生活科学部は昨年度、獣害問題の解決とジビエの普及を目的とした、地元産のイノシシやシカを使った「ジビエ食堂」プロジェクトで最優秀賞を受賞。その後も「ジビエ料理コンテスト」で農林水産大臣賞、「高校生による給食コンテスト」で最優秀賞を受賞するなど、地域課題に向き合う姿勢が高く評価されている。
今回のプラン「下田紅茶×サードプレイス」は、地元特産品と高校生のための居場所づくりを組み合わせたもの。同校の最寄り駅・蓮台寺駅を「サードプレイス」として位置付け、下田特産の「下田紅茶」を使った商品を提供する構想を発表した。
プランの柱は3つ。1つ目は、下田が初代米国総領事タウンゼント・ハリスによって紅茶が日本にもたらされた地という史実に由来する「下田紅茶」の活用。生徒たちは「紅茶伝来の地・下田で作られている紅茶の価値を若い世代に伝えたい」と、新たな商品開発に取り組んだ。
2つ目は「高校生のためのサードプレイスづくり」。同校周辺の店が次々と閉店し、気軽に集まれる場所がなくなっていたことから、無人駅を活用する蓮台寺駅のコーヒースタンド「NEED U」に着目。下田紅茶を使ったメニュー提供や、伊豆急行への駅の空きスペース開放の働きかけを行った。
3つ目が、高校生が安くドリンクを購入できるスポンサー制度。ドリンクのカップに地元企業のPRステッカーを貼り、料金のうち330円を企業が負担する仕組み。若者世代による企業やサービスの情報拡散や、地元企業と若者とのつながりを生むことを狙う。
審査では、昨年に続き地域課題に向き合う姿勢や、地域の生産者・店舗・交通事業者・企業など多様な関係者に利益をもたらす構想力が高く評価された。
伴走企業として同部をサポートした「小林テレビ設備」(一丁目)の杉山亮太さんは「生徒たちの自主性を大切にしながら、新たな視点につながる問いを投げかけた」と振り返る。スポンサー制度も、杉山さんからの問いかけを通じて、支援企業にもメリットが感じられる仕組みにブラッシュアップされたという。「盛りだくさんな内容だったので、本当に伝えたいこと以外を削る必要があることもアドバイスした。短期間で期待以上のプレゼンに仕上げてきた生徒たちの能力と努力に驚いた」とも。
同部のプラン実現については、静岡銀行の働きかけもあり、蓮台寺駅での定例営業に向けて動き始めているという。