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下田に国内初「二地域居住コーディネーター」誕生 関係人口の拡大担う

委嘱式で松木正一郎市長(中央)を囲む湯本紀美子さん(右)と安丸千秋さん(左)

委嘱式で松木正一郎市長(中央)を囲む湯本紀美子さん(右)と安丸千秋さん(左)

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 他地域と下田市の2地域に生活拠点を持つ人を増やすことを目的に活動する「二地域居住コーディネーター」が11月4日、下田市に誕生した。国が推進する事業に基づき下田市が委嘱するもので、全国初の事例となる。

二地域居住促進に向けた下田市の取り組み、説明資料(関連画像7枚)

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 国はこれまで、地方の人口減少対策として移住促進などさまざまな施策を進めてきた。しかし、国全体で人口減少が進む中、全ての地域で定住人口を増やすことは難しい。このため国土交通省を中心に、主な生活拠点とは別に特定の地域にもう一つの生活拠点を持つ「二地域居住」の推進が本格化している。

 11月1日には、2地域居住者向けの環境整備などを目的とした「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」が施行された。下田市はこれに関連して公募された「二地域居住先導的プロジェクト実装事業」にいち早く応募し、2地域居住者の相談窓口となる「コミュニティーマネジャー」の育成や、2地域居住者と地元の専門家・有識者をつなぐ体制構築などを進めてきた。

 今回委嘱した「二地域居住コーディネーター」は、そうした取り組みをさらに推進する役割を担う。コミュニティーマネジャーの育成や、月数日の滞在を前提とした安価な家賃の住宅整備、リモートや短時間でも地域事業者に貢献できる業務の切り出しなど、2地域居住の受け入れ体制を全方位的に強化する。

 11月4日には市役所で委嘱式が行われ、大阪府出身の湯本紀美子さんと安丸千秋さんに、松木正一郎市長から委嘱状が手渡された。

 湯本さんはこれまで、タンザニアでの米卸事業の立ち上げや、佐賀県の高校寮をウェルビーイングを感じられる場に更新する取り組みなどの社会事業に携わってきた。「南伊豆ニュービレッジ」構想の立ち上げに関わったのを機に伊豆に通うようになり、現在は3歳の長女と共に下田へ教育移住している。SNSでの情報発信にも10年以上携わり、「これまでの経験を総合的に生かせる」として応募した。

 安丸さんは事務職や看護師を経て、国内をバンライフで巡る多拠点生活を送ってきた。下田には2020年に初めて訪れ、地域でさまざまな仕事に携わる中で来訪頻度が高まり、地域内に幅広い縁を築いた。「自分自身が多拠点生活者なので、困り事は身をもって理解している。その経験が2地域居住コーディネーターとして役立つと考えた」と応募動機を語る。「話を聞いてくれる人がいたことが自分にとって大きな支えになった。自分も2拠点生活をしたい人、している人の悩みに積極的に耳を傾けたい」とも話す。

 2人は「2地域居住者が充実した暮らしを送るには、地元の人たちとの良好な関係が欠かせない。まずは私たちから地域に飛び込み、多くの人の力を借りられる関係性をつくりたい」と意欲を見せる。

 2地域居住コーディネーターへの相談は、インスタグラム「デュアルライフ」へのDMで受け付ける。

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