
下田市で9月27日・28日の2日間、「お試し移住体験ツアー」が行われた。市内移住を検討する関東圏の10人が参加し、先輩移住者や地元住民との交流を通して暮らしの魅力を体感した。下田市地域おこし協力隊の野添裕紀さんが協力隊最後の仕事として主導した。
ツアーは「海と山を楽しめる下田」をテーマに企画され、移住後の生活イメージを具体的に描いてもらうことを目的とした。
1日目は「街歩きコース」「里山コース」の2つから選べる内容で、街歩きコースでは先輩移住者の案内で市街地を巡り、下田の暮らしぶりや地域との関わりを学んだ。一方の里山コースでは、自然に囲まれた暮らしを実践する住民の話を聞きながら、清流でのアユ釣り体験も行った。夕方にはコミュニティースペース「あたらよ」(下田市二丁目)で、野添さんの声がけで集まった地元住民も加わって交流会が開かれ、地域の人たちとざっくばらんに語り合う時間となった。
2日目は、下田の海を楽しめるアクティビティーとしてSUP(サップ)体験を実施。下田の自然の豊かさを体感した後、発酵食を提供する「85カフェ」(吉佐美)でランチを楽しみ、ツアーは締めくくられた。
参加者からは「楽しかった。下田に何度か通ってもっと知りたいと思った」「海と山が近くてびっくりした」「下田の魅力を知ることができた」などの感想が聞かれた。
野添さんは「移住体験ツアーには下田に興味を持って参加いただいているが、中には移住自体に不安や心配がある方もいると思う。地元住民や先輩移住者との交流を通して、移住後のイメージを持ちやすくなり、知り合いができることで不安も解消されると思って開いた」と話す。
野添さんは埼玉県出身で、2022年から下田市地域おこし協力隊として活動してきた。9月30日で任期を終えたため、今回のツアーが協力隊として最後の仕事となった。「知らない土地での生活は不安もあったが、快く協力してくれる人たちに恵まれ、本当に感謝している。私自身も誰かの支えになれるような人間になりたい」と振り返る。
任期を終えた現在は、これまで月2回ほどシェアキッチンを中心に営業していた「ヨナヨナカレー研究所」を本格的に開業する。夏に自作したキッチンカーで、地元のイベントなどにも出店するという。「これからはカレー屋として、町を盛り上げていきたい」と意気込む。