
天然酵母ベーグル専門店「awai(アワイ)」(松崎町道部) がオープンして、8月6日で1カ月がたった。
店主の門脇彩映子さんは2018(平成30)年に地元の埼玉県蕨市でカフェを開業。サブメニューとして提供していたベーグルに魅力を感じ、「いつかベーグルを主軸とした店を」との思いを募らせた。その後、四国のベーグル学校で製造や事業運営を学び「自然豊かな地でベーグル店を」という計画を具体化させた。
移住のきっかけは、門脇さんの祖父母が下田に住んでいた縁と、夫婦共通の海好き。伊豆半島での物件探しを通じて度々訪れるうち、松崎町の温かな魅力に心引かれ、今春、家族で同町へ移住した。夫で、同店に併設する「門脇時計修理工房」店主の光洋さんと共に念願の店を構えた。
店名の「awai(アワイ)」は大和言葉の「間(あわい)」に由来し、空間、人と人の間柄、循環、併設する時計工房から「時間」という意味も込める。
10席を用意する店内は、物件を譲り受けた感謝とつながりも「間(あわい)」と捉え、以前の様相を残しつつ、夫婦自ら漆喰(しっくい)の壁を手がけるなど、リノベーションを施した。旧店舗やカフェ仲間から受け継いだ家具を並べ、店名の哲学を空間全体で表現したという。
ベーグルは、卵、乳、油、白砂糖、保存料不使用の生地が特徴。デザート系と総菜系を半々で約10種類用意し、「ブルーベリーレアチーズ」「ほうれん草のアスパラベーコンチーズ」(以上400円)などのベーグルを並べる。自宅でアレンジもできる定番の「プレーン」(270円)も用意。購入当日に冷凍すれば1カ月間の保存が可能だという。ドリンクは、コーヒー(500円~)などをそろえ、光洋さんの地元である長野県松本市のロースターに焙煎(ばいせん)を依頼した豆を、以前の店から引き続き使う。
「物件探しや移住の際、不動産店をはじめ、町の人々に助けられた。何かの一助になれたら」と話す門脇さん。「町の店を循環させることが、町にもお客さまにも私たちにもプラスになる。人から受けた温かい気持ちを次へとつなぐ 『循環』の精神を大切に」と、人や町とのつながりを深める場を目指す思いを話す。
夏季限定で、天然氷のかき氷を提供する「天然氷にちか静岡松崎店」を併設している。
営業時間は10時~16時。木曜・金曜と第3土曜定休。かき氷は13時~。駐車場4台。