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アートディレクター白谷敏夫さんが下田で「仕事展」 本の価値を見つめ直す

南伊豆町に移住したアートディレクター・白谷敏夫さん

南伊豆町に移住したアートディレクター・白谷敏夫さん

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 伊豆の食材を使った料理を提供するダイニングバー「Table TOMATO(テーブルトマト)」(下田市一丁目)2階にある小さなセレクト書店「Books半島」で10月10日~20日、アートディレクター白谷敏夫さんの「本の仕事展」が開かれた。

植物がモチーフの詩人・谷川俊太郎の写真集「楽園」の装丁(関連画像10枚)

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 白谷さんは愛知県豊橋市出身。1972(昭和47)年に武蔵野美術大学卒業後、約50年にわたりアートディレクターとして広告やブランディング、グラフィックやエディトリアル(出版や印刷)など、さまざまなデザインに携わってきた。2022年には南伊豆町へ移住し、海と山に囲まれてアートブックを制作する毎日を過ごしており、白谷さんを訪ねてくる作家や写真家たちが後を絶たないという。「新幹線から離れれば離れるほど良い。小規模であるほど、本当に作りたい本が作れる」と白谷さんは話す。

 今回の展覧会では白谷さん自身も会場に常駐し、多岐にわたる仕事の中から、表現方法や印刷技術が特徴的な50冊をピックアップして展示販売を行った。サーファーでもある白谷さんがディレクションを手がけた海や波の写真集、「デザイナーは手がけた印刷物の初まりから終わりまでを見届ける義務がある」という考えから手がけた土に還る本、読者自身が本の制作過程に思いを巡らせることができる製本キットなど、多様な作品を所狭しと並べた。

 会期中の14日には、トークイベント「一冊の本が生まれるまで。そしてそれから」を開催。ブックデザインという仕事や、本が誕生するまでとその後の流通の行方についての話を披露した。

 今回の展示会は、白谷さんがテーブルトマトに通ううちに、同店並びにBooks半島店主の山田真由美さんと親しくなったことから、開催の話が持ち上がった。「白谷さんは東京から南伊豆に拠点を移し、より人の手の温もりの感じられる、多部数では決してできない本づくりに力を注いでいる」と山田さん。「デジタル全盛の今、貴重な作品を手に取り、改めて紙の本の魅力や価値について見つめ直すきっかけになれば」と開催への思いを明かす。

 会期中、2階で白谷さんの手がけた作品を楽しんだ後、1階のダイニングバーで地の食材を生かした山田さんの料理を楽しむ人の姿も多く見られた。

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