静岡県内で実施される文化芸術活動の伴走支援に取り組む「アーツカウンシルしずおか」が10月5日、地元アーティストやまちづくりプレーヤーとの意見交換会を「WITH A TREE」(下田市西本郷)で開いた。
アーツカウンシルしずおかプログラムコーディネーターの立石沙織さん(関連画像6枚)
静岡県文化財団の一部として2021年に発足した同団体。県内一円のアーティストや関係者、アートの要素を取り入れたネットワークを構築している企業などをサポートし、資金面も含めて支援することでさまざまな地域課題を解決するきっかけを作ることを基本コンセプトに掲げている。「熱海怪獣映画祭」「三島満願芸術祭」「牧之原盆フェス」など、これまでにもさまざまな事業を「文化芸術による地域振興プログラム」と認定して支援してきた。
賀茂地域でも今年2月に開催された東伊豆町の「イナトリ・アート・フェス」や、今月10月に松崎町で行われる「松崎まちかど花飾り」などの事業をサポートしている。今回の「出張ArtS アーツカウンシルしずおかと話してみませんか?~伊豆編~」と題した下田での意見交換会は初の試みで、当日は市内で活動するものづくりの作家やまちづくりに携わる有志など約10人が参加した。同団体プログラムコーディネーターの立石沙織さんは「全ての県民が表現者になることが地域の活力になる。それには住民の中からもプロデューサーが生まれることが必要。まずはアートに関する伊豆の実状を教えてほしい」と参加者たちに問いかけた。
同会の開催をサポートした下田市地域おこし協力隊の青木真さんは「私のミッションは中央市街地活性化。下田の町の中に気軽に立ち寄ることができ、アートに親しめる場所を作りたいと思っている」と話す。
参加者からは「シーズンオフが明確にある下田はその時期を生かして文化的なイベントを開催できる」「下田でも大きなライブを開催したり、まちぐるみのアートフェスを仕掛けたりできれば飲食業や宿泊業までが潤い、町を知ってもらえるきっかけにもなる」「写真術の開祖・下岡蓮杖というキラーコンテンツを持つ下田は、写真というキーワードで老若男女を巻き込めるのでは」などさまざまな意見が出た。
同団体が推進する補助事業には、県内外からアーティストを旅人として迎え、地域に1週間ほど滞在してもらう「MAW(マイクロアートワーケーション)」という試みもあり、下田での開催に向けた意見も挙げられた。
会場となったWITH A TREEの管理者・梅田直樹さんは「下田はもともとアートの要素が豊富な土壌。従来あった点を線につないで、町が盛り上がるきっかけを作れたら」と話す。「アーツカウンシルしずおかとの意見交換会は今後も続けていきたい」とも。