大型倉庫をリノベーションしたワークスペース「WITH A TREE(ウィズアツリー)」(下田市西本郷)で2月17日、地元高校生主導によるカフェとカラオケのイベントが行われた。
マフィンを販売した下田高校生活科学部1年「下田小町」のメンバーたち
三菱地所や日本経済新聞社など複数の企業が、大手町・丸の内・有楽町を起点とし、企業の枠を超えてSDGsの活動を推進するプロジェクト「大丸有(だいまるゆう)SDGs ACT5(アクトファイブ)」から生まれた同イベント。SDGsの観点から、地域課題を解決するための実践地として昨年、下田が選ばれ、地元の若い人たちに自分や町の将来について考える機会を設けることになった。
同会場の管理者で、地元でさまざまなイベントを開いてきた梅田直樹さんは昨年4月に同プロジェクトの話を受け、そのコンセプトを伝えるため、下田高校の2年生25人にキャリア教育を行ってきた。高校生たちは「どうすれば住みやすい町になるのか」「どのようにして人とのつながりを作っていくのか」など、さまざまな意見を出し合い考えてきた。
その中で4人の生徒が「カフェをやってみたい」と手を挙げ、梅田さんのアドバイスの下、自ら企画運営を始めた。10月ごろから本格的に企画を練り始め、「カフェだけでは人の滞留が短い」とカラオケも同時に行うことにした。
当日は午前中から下田高校2年生たちがカフェを運営。同時にキッチンリヤカーで下田を中心にコーヒーの移動販売をしている「Nitotte (にとって)coffee」も出店した。会場に集まった人々は、高校生たちが作るホットサンドを購入したり、コーヒーを飲んだりしながら思い思いに楽しんだ。カラオケが始まると参加者は手をたたきながら一緒に踊り、会場には自然と人の輪ができた。午後には下田高校生活科学部の1年生「下田小町」のメンバーが、下田で栽培された米で作った米粉のマフィンを販売した。
さらに当日は、同会場が「まちじゅう図書館」の5号目として認定された登録証の交付式も行われた。まちじゅう図書館は、下田市が民間施設に図書館の蔵書を置き、町全体を図書館にしようという試み。昨年から実施されている。
市内から友人と一緒に訪れた女性は「久しぶりにカラオケを楽しんだ。みんなが応援してくれてうれしかった」と振り返る。企画に参加した高校生は「思ったよりたくさんの人が来てくれてうれしい」と笑顔で話していた。