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熱川温泉で「源泉掃除見学会」 温泉櫓が日本一密集する地域の裏側を初公開

温泉櫓を案内する石島正和さん

温泉櫓を案内する石島正和さん

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 伊豆随一の温泉地・熱川温泉の維持に欠かせない日々のメンテナンス作業を初めて一般公開した「源泉掃除見学会」が9月16日~30日、「お湯かけ弁財天」(東伊豆町奈良本)で5回にわたって開かれた。

掃除が終わると、さらに勢いよく源泉が吹き出した(関連画像6枚)

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 熱川温泉の街なかには、吹き出す源泉を管理する温泉櫓(やぐら)が13本あり、その面積当たりの数は日本一を誇る。温泉櫓の下には地中深くまでパイプが通されているが、湯の華が付きやすい泉質の熱川温泉では、パイプが詰まらないよう週2回程度の源泉掃除が欠かせない。

 今回の見学会は、6月に熱川温泉が伊豆半島ユネスコ世界ジオパークのジオサイト(文化サイト)に登録されたことを受け、湯守り(ゆもり)文化を観光客が興味を持てる形で発信していこうと熱川温泉旅館組合が企画した。

 見学会では「ふたりの湯宿 湯花満開」を営む石島正和さんがガイドを務め、「熱川温泉は太田道灌が発見したと伝えられている」「1970(昭和45)年に放送されたテレビドラマ『細うで繁盛記』で特に注目が集まった」など地域の歴史を説明。さらに熱川温泉の泉質や、源泉掃除の必要性についても案内した。

 その後、源泉を管理する「八大偕楽園」の齋藤欣邦さんが源泉掃除作業を実施。100度近い高温のお湯が体にかからないよう、温泉櫓の横にある作業小屋の中からウインチを使って、源泉が通るパイプの中に数メートルの鉄のノミを落とした。掃除が終わってノミを引き上げると、掃除前よりもさらに勢いよく源泉が吹き出し、見物客からは歓声が上がった。飛んできた湯の華のかけらを拾う人の姿も見られた。

 掃除終了後は、目の前の源泉で調理されたゆで卵が見物客たちに振る舞われた。千葉県から来たという親子連れからは「このまま熱川バナナワニ園に遊びに行くつもりだったが、説明を聞いたら温泉に入りたくなった」「卵をただ温泉に入れていただけなのに、塩味が付いていておいしい」などの感想が聞かれた。

 石島さんは「おかげさまで好評。地元の人からも『喜んでくれる人がいるのだから、もっとやったらどうか』などと応援の声を頂いている。今後の企画も考えていきたい」と意欲を見せる。

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