下田市内のカフェや宿泊施設で市内図書館の蔵書を読むことができる「下田まちじゅう図書館」が始まった。「Living Anywhere Commons 伊豆下田(以下、LAC伊豆下田)」(下田市武ガ浜)と「カフェらくら」(一丁目)の2カ所が「まちの図書館」の認定を受け、登録証の交付などを行うオープニングセレモニーが4月1日に開かれた。
市内の公立図書館が老朽化に伴う耐震性能不足や勉強スペース等が足りないなどの課題を抱えていることに加え、より多くの市民がもっと手軽に読書を楽しむことができるようにという思いから始まった同事業。愛知県四日市市、長野県小布施市、山口県山口市などの取り組みを参考に企画がまとめられた。
市内のカフェや宿泊施設などに対して、団体貸し出しの形式で図書館の蔵書をまとめて貸与し、そこに図書館への寄贈本や店主の私物などを加えて、1カ所につき50冊程度を置く。「まちの図書館」に置かれる市の蔵書は閲覧のみが可能だが、その他の本の貸出可否は各店主に委ねられる。
各拠点には図書館と店主が相談のうえ決めた主題を中心とする本を置く。LAC伊豆下田は「働き方・IT・コミュニティー」、カフェらくらには「開国・郷土の紹介」を、それぞれテーマとした。
下田市教育委員会の朝比奈誠さんは「これを機会に市民の図書に対する興味が増し、図書館利用の拡大にもつながっていけば」と期待を込める。「他にも3カ所と開館に向けた協議を進めている」とも。2026年度までに30カ所を設けることを目標としているという。
多拠点居住者が集うLAC伊豆下田の拠点マネジャーで「まちの図書館」館長を務める津留崎鎮生さんは「LACはこれまでたくさんの人と人の出会いを生み出してきた。『まちじゅう図書館』に参加することで、今後は本と人が出会う場にもなる。人生の転機となる出会いを生み出していきたい」と話す。
開館時間は、LAC伊豆下田=10時~17時、カフェらくら=11~19時(火曜・水曜定休)。