松崎町に多く残る古民家にスポットを当てた「なまこ壁のある町MAP」の配布が4月1日、町内の観光施設や飲食店などで始まった。伝統的な「なまこ壁」が彩る景観の由来や歴史をひもとき、次世代へ語り継ぐことを目指して制作された。
「なまこ壁のある町MAP」裏面では各建物の歴史を写真付きで掲載する(関連画像3枚)
同マップは、東伊豆町で出版社「子鹿社」を営む田邊詩野さんが取材と執筆を、松崎町在住のキャンドルアーティスト・藤野(とうの)みかさんがグラフィックデザインを、それぞれ担当。町内の古民家群を「松崎町古民家スクエア」と名付け、一体的なまちづくりを提唱する内田昭彦さんが制作進行をサポートした。松崎町商工会商業部が、空き店舗対策の一環として制作費を負担した。
両面カラー刷りのマップの表面では、「駿河屋」「中瀬邸」「伊豆文邸」など、しっくいを使った日本伝統の壁塗りの様式「なまこ壁」が特徴の古民家や、「伊那下神社」「浄感寺」など歴史を感じられる名所を中心にした散策ルートを紹介する。内田さんは「記載している2つのモデルコースは、田邊さん・藤野さんが実際に歩いたり町の人に話を聞いたりしながら設定したもの。女性目線で歩きやすいルートを選定し、観光客を想定して両ルートとも町内の大きな駐車場を起点にしている」と紹介する。
裏面では、観光スポットの紹介に加え、なまこ壁の構造的な特徴や各建物の歴史を写真付きで掲載した。これまで、美しい景観に引かれて訪れる観光客は多いものの、それぞれの建物が持つ固有の物語が十分に伝わっていないことに、内田さんは課題を感じていたという。「松崎のなまこ壁は有名だが、それぞれの由来が伝わっていないのはもったいない。このマップを手に、歴史を知ることで、自分だけのお気に入りの景色を見つけてもらえたら」と内田さんは話す。
一方で内田さんは「町の歴史研究家や、生き字引のようなお婆さんが、ここ1~2年で立て続けに亡くなってしまった。今回のマップ制作に当たって、それぞれの建物の歴史や由来を調べるのは大変だった」と苦労を語る。今回のプロジェクトをきっかけに、メンバー間ではさらに詳細な情報をまとめた「ZINE(小冊子)」を制作する構想も持ち上がっているという。内田さんは「歴史をつなぎ止めるためにも、引き続きこの活動を形にしていきたい」と意欲を見せる。