下田市の総合建設会社「外岡組」(下田市東本郷)が今年、創業90周年を迎えた。1935(昭和10)年の創業以来、土木・建築工事を通じて地域のインフラ整備を支え続け、現在は「まちの困りごとに応える建設会社」として幅広く事業を展開している。
統制経済期に外岡組が加入していた統制組合の出資証券(関連画像4枚)
同社の創業は昭和初期。当初は、建物を解体せずにジャッキアップして移動させる「曳家(ひきや)」と呼ばれる特殊工事を主業としていた。寺社仏閣の保存や区画整理に欠かせないこの高度な技術を持つ同社は、長年賀茂地域で貴重な存在として重宝されてきた。創業年については、現存する資料や写真の中で最も古いものが1935年であることに由来するが、三代目の外岡兼一社長は「実際にはそれ以前から事業を行っていた可能性もあり、もっと長い歴史があるのかもしれない」と思いをはせる。
現在は土木、建築、水道施設、造園など多岐にわたる工事を手がけ、静岡県の優良工事表彰も多数受賞。公共の河川改良や道路工事といった大規模案件から、下田市の指定水道工事店として家庭の漏水修理などの身近な依頼まで柔軟に対応する。取締役の外岡秀介さんは「一つの相談から関連する工事をまとめて引き受けられる体制が、地域の方々に喜ばれている。公共だけでなく民間の仕事も積み重ねることが、地域に必要とされ続ける鍵」と話す。
秀介さんは下田建設業協会の若手会にも所属し、子ども向けの重機体験イベントに協力するなど、地域交流にも力を注ぐ。兼一社長は「建設業だが、考え方はサービス業に近い」と話し、今後も規模の大小を問わず、地域の困りごとに真摯(しんし)に向き合う姿勢を続けていく考えを示した。