
南伊豆エリア(賀茂地域)の高校生に向けた職業講座「賀茂ジモト大学」が8月7日、南伊豆町の直売所「南伊豆湯の花」(南伊豆町下賀茂)で開かれた。「地域の直売所が果たしている役割」をテーマに同店店長の渡辺純平さんが講師を務め、地域の高校生7人が参加した。
「南伊豆湯の花」渡辺純平店長による講義の様子(関連画像7枚)
下田高校、下田高校南伊豆分校、松崎高校、稲取高校の4つの高校で組織する「4校連携探究委員会」が主催する同講座。学校だけでは学べない地域の「ヒト、モノ、コト」に触れ、地域の大人との対話や協働を通じて主体的に学ぶ姿勢を育むことを目的としている。
7月に始まった同講座は今回で3回目。これまでにアパレルブランド「IZU BLUE」の高橋美和子さんによる「オリジナルブランドで地域活性!」、三余農園の土屋人さんによる「半農半X やりたいことに挑戦しよう!」を開催してきた。来年2月までに10講座ほどを予定する。
今回は渡辺さんの講話を通じて地域と農業のつながりを学んだ後、直売所の見学や、オリジナル商品の開発のグループワークに取り組んだ。渡辺さんは、朝の出荷時が生産者同士の交流の場になっていることや、商品が売れると生産者に「売り上げ速報メール」が届き、それが喜びや生きがいにもつながっていることなどを紹介した。生産者の高齢化による出荷量の減少など課題がある中でも、直売所を拠点に地域循環型経済の推進に努め、南伊豆の農林水産業を活性化させたい考えを示した。
参加した稲取高校1年の今井詠美さんは「直売所には時々買い物に来ていた。今回は中を見学し、生産者や販売者の視点でいろいろな工夫が施されていることを知り、とても勉強になった」と振り返る。
同委員会に参加する松崎高校の稲葉渉教頭は「先行事例である山形県の『新庄・最上ジモト大学』を参考に開催している。高校生が地域の魅力や課題を自分事として捉え、探究心を持ち、将来地域を支える人材へと成長するための『生きる力』を育む場にしたい」と力を込める。