
下田市在住の高校生が発案した車内販売が7月21日、伊豆急行の観光列車で一日限定で行われた。「大好きな伊豆急で車内販売を復活させたい」という高校生の思いに地元企業などが賛同し、実現を後押しした。
商品の紹介ボードをもって車両をまわる生徒たち(関連画像9枚)
企画したのは下田高校3年の磯崎仁さん。昨年11月に開かれた、若者の夢中を応援するイベント「カイブツ大集会」で、「大好きな伊豆急で、なくなってしまった車内販売を復活させたい」と発表。その後、イベントを主催する「squad(スカッド)」(下田市西本郷)の支援を受け、ビジネスの基礎知識や協力者とのつながりを得た。
今年3月からは、地元企業を訪ねて商品の提供を依頼したほか、自身が通う下田高校で仲間を募るなどして準備を進めた。生活科学部や教諭らの協力も得て、企画を受けた伊豆急行も応じ、観光列車「リゾート21『キンメ電車』」での販売が実現した。
車内販売は、伊豆急下田駅を10時16分に出発する上り電車と、伊東駅を12時52分に発車する下り電車で実施。老舗和菓子店「金栄堂」(武ガ浜)の「下田の海の塩バターどらやき」(200円)、土産物店「下田時計台フロント」(東本郷)の「ミルクもち」(同)、洋菓子店「ケークス・カノン」(西中)と下田高校生活科学部が共同開発した「アオハル甘夏ゼリー」(300円)の3品を計125個販売した。
当日は、生徒たちが商品をワゴンに並べ、紹介ボードを手に車内を巡回。ボードは英語と中国語でも表記し、外国人観光客にも対応した。列車が発車すると、乗客が次々と買い物に訪れ、生徒たちは商品の説明や会計に追われた。
購入客からは「さっそく席でいただきます」という声も聞かれ、終点に戻る頃には用意した商品が完売していた。
磯崎さんは「下田の観光を盛り上げたいという思いで企画した。多くの人が協力してくれて本当に感謝している。特産品を通じて、下田の温かさや魅力を感じてもらえたらうれしい」と話す。