
西伊豆町で大正時代から4代続く大衆食堂「河津屋食堂」(西伊豆町仁科)が6月12日で創業100周年を迎えた。当日は、日頃の感謝を込めた「100周年大感謝セール」を行った。
河津町から西伊豆町へ移住した初代・大矢平次さんが1926(大正15)年に開業した同店。現在は3代目の次夫さんと4代目の孝徳さんが店を切り盛りしている。開業当初は精肉店も営んでおり、そこから生まれたのが元祖ご当地グルメ「肉丼」。戦前から約80年間、継ぎ足しながら使い続けているタレが味の決め手となっている。
修業に出ていた次夫さんは28歳のときにUターンし、1989(昭和64)年に食堂のみに業態を絞る形で店舗を改装した。現在も同町田子地区にある「田子漁協ストアー」内では、次夫さんのいとこが肉を販売しており、イベント出店の形で精肉業も継続。精肉店時代の名残が町内に息づいている。
次夫さんは「コンビニがまだなかった頃、夜中に消防団が出動する際にはおにぎりを30個作るなど、町の便利屋のような存在だった」と当時を振り返る。現在も「町の料理番」として、地域に根ざした営業を続けている。
今回の「感謝セール」は「日頃の感謝を込めて、看板メニューを食べて喜んでもらいたい」との思いから企画。物価高の影響を受ける中でもインパクトのある価格で提供したいと、メニューを2品に絞り、肉丼を300円、ラーメンを200円と、いずれも通常の半額で提供。来店客には後日使える100円引き券を1人1枚配布した。2代目の時代から通い続けているという地元住民は「いつもと変わらない味」と肉丼をうれしそうに頬張っていた。
次夫さんは「大勢の人に来店してもらい、改めて多くの人に応援してもらっていると実感した。これからも地元の料理番として頑張っていきたい」と決意を新たにする。
営業時間は、11時30分~13時30分、17時~19時30分。駐車場7台。