
下田市は6月2日、住まいを探す移住希望者と住宅所有者をつなぐ「空き家バンク」を約1年2カ月ぶりに再開したと発表した。
同市ではこれまで、地元のNPOに業務を委託する形で空き家バンク事業を展開していたが、運営体制の見直しに伴い2024年4月から事業を一時休止していた。今回からは市が直接窓口となり、協力業者と連携しながら、空き家所有者と利用希望者のマッチングを行う体制へと移行した。
新体制では、2025年1月から同市で地域おこし協力隊として活動する大野朋子さんが専任担当となり、相談窓口を務めている。
今回の再開における最大の変更点は、物件の探しやすさに重点を置いた仕組みの導入。市民や協力業者から寄せられた空き家情報を、不動産検索サイト「アットホーム」のプラットフォームを活用したウェブサイトに集約して発信する。「下田から遠く離れた場所に住んでいる人にとって、地元の不動産業者にアクセスするのは簡単ではない。だからこそ、どこからでもアクセス可能な全国規模のウェブサイトに掲載することが重要だと考えた」と大野さんは話す。
不動産の内見対応や売買・賃貸の契約交渉などは、協力業者として登録された地元の宅地建物取引業者が担う。現時点では4社が協力業者として参加しており、既に数件の空き家情報も掲載され始めている。
大野さんは「まずは、より多くの空き家情報を掲載できるよう動いていきたい。空き家を売りたい、貸したいと考えている人は、ぜひ気軽に相談してほしい」と呼びかける。「下田に移住を希望する人は多いが、『住宅が見つからない』という声もよく耳にする。私自身も物件探しには苦労した。空き家バンクを通じて移住者を受け入れ、地域に定着してもらうことで、地域の未来の担い手を増やしていきたい」と意欲を見せる。