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下田で「二地域居住促進プロジェクト」始動 国交省の先導事業として採択

次世代政策デザイン研究所の近藤ナオさん

次世代政策デザイン研究所の近藤ナオさん

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 国土交通省が公募した「二地域居住先導的プロジェクト実装事業」に、次世代政策デザイン研究所(東京都豊島区)が下田市と宮城県東松島市で推進する取り組みが採択された。これを受けて5月8日、下田市民文化会館(下田市四丁目1-2)でキックオフミーティングが開かれ、地元の事業者や行政担当者らが参加した。

パネルディスカッションの様子(関連画像4枚)

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 2地域居住者向けの環境整備などを目的とした「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」が、2024年11月1日に施行された。これに関連して行われた同事業の1次公募では、全国から26件の取り組みが採択された。次世代政策デザイン研究所による事業もその一つで、今回のミーティングでは「下田市(南伊豆エリア)における2地域居住の取り組みについて」と題し、事業の概要が発表された。

 プレゼンターを務めた同研究所の理事・近藤ナオさんは、長年にわたり海外を含む多拠点生活を実践。現在は2地域居住者向けのシェアハウスも手がけている。近藤さんは「これまでの経験や2拠点居住者との交流から言えるのは、多くの人が居住先で何らかの悩みを抱えるということ。しかし、その多くは現地での人との出会いによって解決される」と話し、「当プロジェクトでは、そうした悩みを相談できる窓口として『コミュニティーマネジャー』の育成に取り組む」と説明した。

 事業では、地域の多様な職種の専門家で構成する「悩み解決プロ集団」を組織。コミュニティーマネジャーは、相談者の悩みの内容や深刻度に応じて、2地域居住者をこのプロ集団や地域住民につなぐ役割を担う。悩みの内容は住居、仕事、趣味など多岐にわたると想定。シェアハウスの整備や、月に数日の勤務が可能な仕事の提供、交流会の開催など、ハード・ソフト両面から多彩な支援メニューを用意するという。

 事業計画の発表と、国土交通省二地域居住政策推進官・酒井達朗さんによる「2地域居住に関する政府内での検討状況」と題した基調講演の後、近藤さんの進行で、南伊豆エリアで2地域居住を実践する4人によるパネルディスカッションも行われた。

 酒井推進官は「2地域居住は地方創生において、移住・定住に加えた新たな選択肢を提供する。加えて、親の介護といった福祉面や災害時の冗長性確保といった点でも価値を発揮する」と強調した。

 パネリストの一人で、南伊豆を拠点に自然素材を使った化粧品の開発に取り組みながら、東京との2拠点生活を送る松永英地さんは「地域の人と毎日あいさつを交わし、やがて会話が生まれ、仲良くなる。そうした日常が楽しい」と、南伊豆での暮らしの魅力を語った。

 近藤さんは「2地域居住のターゲットは多様化している。多様な支援メニューをパッケージとして提供できるのがこの事業の特徴。二地域居住者の助けとなり、地域も元気になることを目指したい」と意欲を見せる。

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